太陽光発電の障害物とは?
太陽光発電では、「太陽の光」が不可欠です。
太陽は毎日一定の「光」を地上に送り届けてくれますが、様々な障害物があります。
雨はもちろん、曇り空も障害物となります。
その他、太陽光パネルを設置する屋根面への影(陰)について考慮する必要があります。
影になって発電を妨げるものには、建物、電信柱、樹木、アンテナ、屋根裏の出っ張り等いろいろと落とし穴があって、見逃されやすいので注意が必要です。
影(陰)の存在に気が付かなかったり、小さな影(陰)と軽視しがちです。
季節によっても、夏と冬では異なるため、影(陰)が長くなる冬の時期の日差しを考慮することもポイントです。
太陽光発電システムは、屋根全体への影(陰)はもちろん、一部のモジュールへの影(陰)によっても、発電が影響される仕組みとなっています。
太陽光モジュールの発電量に影(陰)が影響する仕組み
屋根の上には、複数のモジュールが架台に取り付けられ並んでいます。
影の存在が、なぜ問題となるのでしょうか?
右図のように、モジュールを複数並べて直列接続したものをストリング、モジュール複数枚を直列あるいは並列に架台に配置し、屋根に載せた
完成形をアレイと呼びます。
太陽光モジュールをパワーコンディショナーに接続する場合、太陽光モジュールを一定枚数(標準枚数:9〜12枚)毎に直列接続して電圧を揃える必要があり、太陽光発電システムの規模に応じてストリング数が決まります。
モジュールは直列に接続されて電力を作りだしているため、もし1枚のモジュールに影(陰)がかかり発電量が低下すると、直列の系統すべてに影響して電力がダウンしてしまう恐れがあるのです。
一部のセルに日陰がかかっている状態では、陰のかかったセルが、他セルから電流供給されるエネルギーを消費して太陽光発電システム全体で電力が低下すると同時に、抵抗のためにセルが発熱するためパネルが熱破損を起こすことがあります。
そのため、太陽光パネルには、セルをいくつかのブロックに分け、各ブロック間にバイパスダイオードが挿入されており(右上・右下図)、抵抗となる部分を迂回して電気を流れやすくし、出力低下と発熱を抑える役割を果たしています。
バイパスダイオードの仕組みにより、小さな影の発電量へのマイナス影響を回避することはできますが、直列接続されている太陽光パネルの一枚に大きな影がかかると、電流の流れを妨げる働きをします。
大きな影がストリングの発電量を低下させると同時に、パワーコンディショナーに接続する各ストリングの発電量・電圧のバランスを考慮したシステム設計が必要になってきます。
影の影響をまとめると、以下のようになります。
- パネルの一部に影がかかっても発電量はゼロにはなりません。
周囲からの散乱光で発電が可能なため、10〜30%程度の発電はできます。 - アンテナのような細い小さな影の場合は、発電量にはさほど影響しません。
- 大きな影の場合は、ストリング・システム全体の発電量・電圧を踏まえた設計が必要になります。
例外的に、ソーラーフロンティアの太陽光パネルは、CISの技術方式を採用しており、部分的な影による発電への影響は比較的少ないとされています。
太陽光発電の障害物・影の発電量への影響度合いは、立面図に加えて自宅周辺環境も考慮する必要があるため、専門業者に現地調査を依頼しないと分からない部分も多いかと思います。
太陽光発電システムの設計に大きく影響するため、設置検討の早い段階で現地調査を依頼することをオススメします。