売電の仕組み

お住まいの地域の電力会社と接続(系統連系)により、昼間に多く発電し余った電力は自動的に電力会社に「電気を売り」、 発電しない夜間や雨などで発電量が少ない時は電力会社から「電力を買う」ことができます。




蓄電池の設置費用が高額な一方で、電力会社に「高く売る」仕組みがあるため、余剰電力買取制度により電力の「売り」「買い」をうまく組み合わせて、太陽光発電システムを設置の費用対効果が高めることができます。

一般住宅でも、2012年7月から全量買取制度を利用して、固定価格で20年間「売電」することも可能となりましたが、10kW以上のシステムであることが前提となります。


系統連系の仕組み

日本では、電力会社による電気の配電線網が全国隅々までいきわたっています。
電力会社から電力を受電するのに欠かせないこの配電線網を系統と呼び、系統と接続する技術が系統連系です。

系統連系により、自家発電した電気を蓄電池にため込むことなく、余剰電力として電力会社に売ることができます。売電は電力が電力会社の系統に戻っていくため、「逆潮流」とも呼ばれます。

系統連系するには、電力供給の調整などのために、電力会社と協議する必要があります。

申込みに際して資料を電力会社に提出しますが、これらは施工業者が代行してくれるのが一般的です。 系統連携が行われるようにするには、電力会社から供給を受けた電力量と、電力会社に「逆潮流」した余剰電力量を計測するために、買電メーター売電メーターが取り付けられます。

右図のように、太陽光モジュールで発電した電気は、いくつかのケーブルを通って接続箱に送られ、ここで一本のケーブルとなってパワーコンディショナーとつながっています。

パワーコンディショナーは発電された直流電力を交流に変換する一方、電圧や周波数を安定化する機能も果たし、不安定な電力は一定以上の品質を保った電力に調節されています。

パワーコンディショナーから分電盤に入った電気のうち、消費された電気を除いた余りは売電メーターを通り、電力会社に送られます。

売電量は自動計測され、売電の状況はモニターを見ることで、リアルタイムに把握できる仕組みとなっています。


固定価格買取制度 と 太陽光発電促進付与金(サーチャージ)

平成24年7月1日より実施された「固定価格買取制度」は、平成23年8月に成立した「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」にもとづき国が定めた制度です。

本制度は、電気会社に対し、発電された電気を一定の期間、固定価格で買い取ることを義務付ける一方、エネルギー自給率の向上や地球温暖化対策等、制度の実施によるメリットが広く及ぶことや、買い取られた再生可能エネルギーが電気の一部として供給されること等から、買取費用を「電気を使用される全てのお客さま」からご使用量に応じ、「再生可能エネルギー発電促進賦課金」としてご負担いただく仕組みとなっています。

つまり、太陽光発電の普及のため、太陽光発電を設置した家庭・企業から余剰電力を高く買取するため、電力会社は電気代に上乗せし、地域の住民が買取費用を負担しているということです。

現在、太陽光発電システムの世帯普及率は5%程度と言われており、普及促進のため「固定価格買取制度」を設けていますが、毎年この「売電価格」は普及状況を踏まえて見直しされることになっています。


【参考】売電価格の推移
   
期間 売電価格
 2019年4月〜2020年3月
【令和元年度】
余剰買取
ダブル発電
出力制御対応機器
設置義務あり
26/kWh
出力制御対応機器
設置義務なし
24/kWh
 2018年4月〜2019年3月
【平成30年度】
余剰買取 出力制御対応機器
設置義務あり
28/kWh
出力制御対応機器
設置義務なし
26/kWh
ダブル発電 出力制御対応機器
設置義務あり
27/kWh
出力制御対応機器
設置義務なし
25/kWh
 2017年4月〜2018年3月
【平成29年度】
余剰買取 出力制御対応機器
設置義務あり
30/kWh
出力制御対応機器
設置義務なし
28/kWh
ダブル発電 出力制御対応機器
設置義務あり
27/kWh
出力制御対応機器
設置義務なし
25/kWh
 2016年4月〜2017年3月
【平成28年度】
余剰買取 出力制御対応機器
設置義務あり
33/kWh
出力制御対応機器
設置義務なし
31/kWh
ダブル発電 出力制御対応機器
設置義務あり
27/kWh
出力制御対応機器
設置義務なし
25/kWh
 2015年4月〜2016年3月
【平成27年度】
余剰買取 出力制御対応機器
設置義務あり
35/kWh
出力制御対応機器
設置義務なし
33/kWh
ダブル発電 出力制御対応機器
設置義務あり
29/kWh
出力制御対応機器
設置義務なし
27/kWh
 2014年4月〜2015年3月 【平成26年度】 37/kWh
 2013年4月〜2014年3月 【平成25年度】 38/kWh
 2012年4月〜2013年3月 【平成24年度】 42/kWh
 2011年4月〜2012年3月 【平成23年度】 42/kWh
 2010年4月〜2011年3月 【平成22年度】 48/kWh


太陽光発電の普及状況に応じて毎年見直しされる売電価格は、低下傾向にあります。

2015年度からは「出力制御対応機器設置義務の有無」という区分が新たに追加されました。

これは、将来的に地域の電力需要を大きく上回る太陽光発電量が見込まれ、出力制御が必要になりそうな時に、「出力制御対応機器」を設置しなければいけない義務が課されるものです。
出力制御設置義務有りの地域は、将来の機器設置コストも考慮し、売電価格が2円高く設定されています。

「出力制御対応機器設置義務」の対象は、北海道電力・東北電力・北陸電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力の需給制御に係る区域において、2015年4月1日以降に続契約申込が受領された発電設備です。

首都圏・関西・中部地方は現時点では安定した電力需要が見込まれるため、「出力制御対応機器設置義務」の対象外となっています。

「出力制御対応機器」を設置すると、太陽光発電による供給が電力需要を上回る可能性が高くなりそうな場合に、電力会社での売電量が制限・調整される対象となります。売電量調整・出力制御は、電力会社から見て買取量の大きな10kmw以上の産業用を優先して行われることになっており、住宅用太陽光発電への売電制限の頻度・量などの影響はあまりないとされています。

2017年度(平成29年度)の経済産業省の発表では、2019年(平成31年度)迄の今後3ヶ年の買取価格が示されていますが、 売電価格を含めた政府制度に関する動向も、太陽光発電システム設置検討時には留意が必要です。



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