太陽光パネルの種類と特長
太陽光パネルは、メーカーや製品によって半導体基板の種類が違い、性能が異なっています。
大きく、「シリコン系」「化合物系」「有機系」の3つに分類され、それぞれに特長・性質の違いがあります。
シリコン系
半導体としてのシリコンは、現在、太陽電池の材料として最も多く普及しています。
シリコン系は、「結晶シリコン(単結晶・多結晶)」「アモルフィスシリコン」、および2つの「ハイブリッド型」に分類できます。
セル(太陽電池本体)全体がひとつの結晶になっているのが単結晶です。
新商品は単結晶シリコンが主流になっています。
- 【メリット】
変換効率が他素材より20%前後高く、(少ない面積設置でも)多くの発電が期待できる - 【デメリット】
シリコンの使用量が多いため、価格が高め - メーカー
セルの中に、小さなシリコン結晶がいくつも入っているものが多結晶です。
価格と性能のバランスが良く、世界累計で最も生産されています。
日本でも産業用太陽光発電での需要が大きいパネルです。
- 【メリット】
単結晶型よりもシリコン使用量が少ないため、コストが安い - 【デメリット】
単結晶と比べて、変換効率が若干低い(15%前後)・発電量が見劣りする - メーカー
高価なシリコンをなるべく節約するため、ケイ素を主体として、シリコン層を可能な限り薄くした薄型シリコンです。結晶シリコンと比較して、エネルギーギャップが大きく、光吸収係数が高いのが特長です。
- 【メリット】
@シリコン使用量が少ないためコストが安い
A高温時の発電量低下が少ない
- 【デメリット】
単結晶・多結晶比べて、変換効率がかなり劣る(6%前後)・発電量が少ない
単結晶シリコンの「高い発電効率」、アモルファスシリコンの「高温時でも発電量が低下しにくい」という双方のメリット組み合わせたのが、ハイブリット型です。
パナソニック、長州産業の2メーカーがHITシリコンの太陽光パネルを取り扱いしています。
(長州産業のHITシリコンは、パナソニックのOEM)
化合物系
銅、インジウム、ガリウム、セレンを原料を使用した化合物半導体を発電層に使い、シリコンのように「pn接合」によって発電させようとするものが化合物系です。シリコンを使わず、発電層を薄い膜状の半導体とすることで、製造時の消費エネルギーや排出CO2を少なくできる特長があります。
代表的なソーラーフロンティアのCISは、銅、インジウム、セレンの3つの主要元素の化合物です。
- 【メリット】
@高温や影がかかる天候でも安定した発電量が期待できる(発電量の低下が少ない)
A製造に必要な資源も少なく、量産にも向いているため、今後低コスト化の期待 - 【デメリット】
シリコン系に比べて発電効率が低い - メーカー
有機系シリコン
シリコンなど無機物を使わないで、有機物を用いる太陽電池です。
次世代型太陽光発電システムの本命の一つとされていますが、実用化は少し先になりそうです。
太陽光パネルの種類・素材別の特長まとめ
太陽光パネルの種類別・素材別の特長を、変換効率・省資源性・フレキシブル化・価格低下余地の4項目で評価すると、以下のようになります。
太陽光パネル種別 | 変換効率 | 省資源性 | フレキシブル化 | 価格低下余地 |
---|---|---|---|---|
単結晶系シリコン | ◎ | △ | × | △ |
多結晶系シリコン | ○ | △〜○ | × | ○ |
薄膜シリコン | △ | ◎ | ◎ | ◎ |
ハイブリット型 (HIT) | ◎ | ○ | × | ○ |
化合物型 (CIS) | ○ | ◎ | ◎ | ◎ |
2019年現在、住宅用太陽光発電では単結晶・HITハイブリッド・CIS、産業用では多結晶・CIS・単結晶が主流になっています。
太陽光発電システムの設置を検討する際は、費用・価格はもちろん、発電量に少なからず影響する各メーカーの太陽光パネルの種類・特長やメリット・デメリットもおさえた上で、施工業者に試算シミュレーションを依頼・比較検討することをおすすめします。