屋根形状の特長と比較

日本の屋根の形状はさまざまで、独特の景観を持ちます。

太陽光発電システムの設置には、屋根形状による向き・不向きがあります。
まず、ご自宅の屋根形状の特長を確認しましょう。

屋根形状 屋根図 特長
切妻屋根  

太陽光発電システム・ソーラーパネルを設置する上で、切妻は非常に良い形です。屋根が2方向に向いており、比較的広い面積を確保できるメリットがあります。

2つある斜面のうち、どちらかが南向きであるのが理想的です。
東西に屋根が向いている場合は、東西両方の屋根面にパネルが設置できますので、より多くの発電量を得られる可能性が高いです。

寄棟屋根  

寄棟屋根は、屋根が4方向に向いており、ひとつひとつの屋根面積が小さい場合が多い特長があります。

太陽光発電システム・ソーラーパネルを設置する上で、北以外のすべての面を活用できる点はメリットです。広い斜面が南向きであるのがベターです。
より効率的に屋根を使用するために、屋根の形にあわせて三角パネルなどをうまく利用していくことも効果的です。

陸屋根  

傾斜のない平面状の屋根のことです。平屋根とも呼ばれます。鉄筋コンクリート造りの家や鉄骨系住宅で多く見られます。
  
屋根自体に傾斜が無いため、傾斜を作るために太陽光パネル取り付けには特殊な土台を取り付ける必要があります。角度の調節が可能で、一番適した傾斜で設置ができるメリットもあります。

一方で、強烈な風を受け、頑強な設置ベースを作らなくてはならないため、設置が困難な場合もあり留意が必要です。

片流れ
屋根
 

屋根が1面からできていて1つの方向にだけ傾斜があります。

傾斜の方角が南の場合、大きい屋根に多く太陽光パネルを設置することができますが、屋根の傾斜の方角と反対側にベランダを設置することが多く、ベランダが南側、屋根の傾斜の方角が北側となる場合が多いようです。
1面屋根の方向によってメリットが大きく変わる屋根です。



   【参考】日本の家の屋根形状の割合


屋根材の特長と比較

太陽光パネルの固定方法は、瓦やスレートなど屋根に使われている材料で変わってきます。
自宅の屋根材の特長を以下で知っておきましょう。

屋根材 屋根材写真 特長
粘土瓦
(和瓦・洋瓦)

瓦型に成形した粘度を高温で焼いてつくられる、昔ながらの日本家屋に多くみられる屋根材です。形によって「和瓦」と「洋瓦」に分けられ、様々な種類があり、メーカー数が多いのも特長です。

  • 【メリット】 耐火性・断熱性・防水性・防音性に優れている
  • 【デメリット】屋根材の中でも最も重量があり、衝撃に弱く割れやすい
スレート  

セメントに繊維材料などを混合して作られる薄い板状の屋根材です。瓦と同じくデザインや色彩が豊富で、和瓦と比較して約半分の重量で家の耐震性を高めることができ、施工も容易に行えるため、近年、増加傾向にあります。

  • 【メリット】  軽量で断熱性・加工性に優れ、カラーバリエーションも豊富
  • 【デメリット】瓦や金属屋根に比べて、耐久年数が短く強度も劣る
      
金属屋根  

トタン、ステンレス、銅板、アルミニウム板、ガルバリウム鋼板などの多くの種類があり、軽量で加工しやすく、今もっとも技術進歩の目覚ましい屋根材です。

  • 【メリット】軽量で耐久性・耐震性・加工性に優れており、カラーやデザインのバリエーションも豊富で、自由度の高い設計デザインに幅広く活かせる
  • 【デメリット耐久性はあるが、他の屋根材と比べると錆びやすく、遮熱性や防熱性が低い



   【参考】日本の家の屋根形状の割合


屋根構造の特長(野地板・垂木)

屋根の構造は、瓦・スレート・金属屋根などの仕上げ材の下に、下葺き材のルーフィング、下地材として野地板、屋根の骨組みである垂木(たるき)、となっています。

ルーフィングは、住宅の屋根を雨水や湿気から守る防水シートです。

屋根への太陽光パネル・架台の設置に大きく関係するのが、野地板垂木です。

野地板は、屋根にストレートや瓦などの屋根材を設置するための受け材となる、12ミリの厚さの敷板・下地板です。
垂木の上に張る野地板の種類として、以下5つがあります。

野地板の種類 特長
構造用合板

地震や台風で建物が変形するのを防ぐ目的で使われる、建物の躯体を支える構造として用いられる特に強度のある合板です。

OSB
(配向性ストランドボード)

木質ボードの一種で、原木から切削された長方形の薄い木片を、表面層とコア層で繊維方向が直交するように、重ねて高温圧縮した構造用木質ボードです。

パーティクルボード

残廃材、建築解体材、小径木などを原料とし、木材小片(パーティクル・チップ・木材切削片・破砕片)に接着剤を混合し、熱圧で成形した木質ボードの一種です。

センチュリーボード

三井木材工業の硬質木片セメント板の製品名ですが、汎用的に採用されていたため一般名称化しています。防火材料として、多く用いられます。

杉皮野地板

杉材でできた野地板で、古い瓦ぶきの木造住宅で多く用いられています。



垂木
は、屋根の棟木から桁にかけて斜めに取り付けられ、野地板を支えるための下地となる細長い構造材です。垂木の状態・サイズ・ピッチが、設置の上で重要となります。

太陽光パネルは、架台も含め1kWあたり100kg-150kgの重量があり、太陽光パネルをあらゆる環境で耐久性・耐食性のある強度で支えるための土台が必要となります。

また太陽光パネルのサイズや重量もメーカーごとに異なっており、メーカー各社が保証対象とする施工基準・施工方法を独自に定義し、認定施工IDを持つ施工業者に研修指導しています。 
【参考】太陽光発電(ソーラーパネル) メーカー製品一覧メーカー施工基準

野地板垂木の状態は、図面(立面図・平面図・矩計図など)の他に、実際に施工業者に
現地調査を依頼して屋根裏を確認してもらわないと、私たち消費者には把握しずらい部分ですが、屋根形状・屋根材に加えて、野地板垂木の屋根構造要素が、太陽光パネル設置の土台設置に重要なポイントとなっています。

設置可能なメーカー・採用可能な施工方法にかかわってくることを、まず理解しておきましょう。

屋根への施工方法は?

設置基準について、メーカーそれぞれに非常に細かい基準(メーカー施工基準)を持っています。
もしメーカー施工基準外の家に設置した場合、メーカー保証対象外となる恐れがありますので、太陽光発電システムの設置検討段階で施工業者にきちんとに確認しましょう。


  • 瓦の一部を金具のついた特別な瓦に取り換え、モジュールを支える経浅(桟)を固定する方法
  • 瓦を取り外して金具を取り付け、モジュールを支える経浅(桟)を固定する方法
  • モジュールを取り付けるフレームを屋根にネジで固定する方法

など屋根材や屋根の強度・状態によって施工方法が変わりますので、自宅の屋根について理解を深めましょう。

  
【関連】太陽光発電の設置・施工方法
   
【関連】屋根の方角・勾配を調べる
   
【関連】屋根・予算感別おすすめメーカーは?


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