富士通の100%子会社の富士通総研は、富士通とともに複数の家電や住宅設備機器を一元的に自動制御する住宅エネルギー管理システム(HEMS)の開発にに着手する。住宅に設置したセンサーから電力の使用状況や住人の行動パターンを取得し、各世帯の特性に合わせた適切な省エネ制御を目指す。
現状のHEMSは、家電の消費電力の可視化や、一般的な省エネアドバイスを行う機能が中心。家庭でHEMSを普及させるには、生活スタイルに合わせた適切な省エネ制御の提案や自動的に制御の仕組みが課題となっている。
富士通総研は、環境省の「2012年度HEMS制御によるCO2削減効果の調査事業」を受託し、省エネ効果が高く住人の負担が少ない機器制御システムを富士通と開発して効果を検証した。モニター世帯で冬の電力消費量を10%以上削減できる可能性が示されたことから、これを踏まえて家庭の複数の家電や住設機器の自動制御に取り組む。
今回は、環境省の「2013年度各家庭のライフスタイルに合わせた需要サイドの低炭素化サポートシステム普及促進実証事業」を受託した。HEMS専用機器ではなくパソコンで実現し、富士通の個人向けデータ管理サービス「My Cloud(マイクラウド)」を活用する。マイクラウドはエアコンなどの家電を外出先からコントロールできる。
開発する自動制御システムは、部屋が適温になったらエアコンの運転を止めて代わりにサーキュレーターを回すなど、家電をネットワーク接続して種類やメーカーが異なる複数の家電を組み合わせたり、世帯や個人で違う電力の使用パターンをセンサー情報から把握して家電を制御する。マイクラウドの機能として順次、搭載していく
自動制御システムの特徴は、以下の通り。
1.複数の家電を組み合わせた制御
部屋が適温になったらエアコンの運転をオフするだけでなく、代わりにサーキュレータを回すなど、家庭内の家電をネットワーク接続することで、種類やメーカーの異なる複数の家電を組み合わせて最適な制御を行う。
2.世帯や個人の嗜好・くせに応じた制御
世帯や個人で異なる電力使用のパターンを、センサー情報から把握し家電を制御する。また、パーソナリティ(暑がり・寒がり、面倒くさがり・小まめ)、ライフステージ(幼児、受験生、高齢者がいる世帯)、ライフスタイル(朝型・夜型、昼間不在がち)など、世帯の特性を捉えた機器の制御を実行する。
3.受容度の把握
自動制御を実行する前に、利用者に対し問いかけメールを発信し、承諾した場合のみ実行するなど、人の暮らしに配慮した省エネ制御を行う。
(日経BP環境経営フォーラム)