シャープ、京セラ、パナソニックなど国内電機各社の太陽光発電事業の業績が回復している。
シャープは2013年度に太陽光発電事業の営業黒字化を、京セラも2013年度に事業増収を見込む。
政府が再生可能エネルギー普及のために2012年7月に導入した「固定価格買取制度」により、
大規模太陽光発電所(メガソーラー)や店舗、一般住宅向け太陽電池販売が好調に推移し、各社の業績が急速に改善している。
シャープの太陽光発電事業は、2011年度の219億円から2012年度は44億円に営業赤字が大幅縮小した。今後も業績の回復傾向が続くとみており、2013年度は60億円の営業黒字転換を目指す。
京セラはメガソーラーの国内出荷量が大幅に伸び、2013年度は事業全体で増収の見通し。
パナソニックは2013年度の太陽光パネル国内出荷量について2012年度比約1.3倍の見通しを示す。
好調の要因は、政府の固定価格買取制度。東京電力福島第1原発事故後、政府は再生可能エネルギーの普及を目的に同エネルギーで発電された電気を一定の期間と価格で電気事業者が買い取ることを義務付けた。対象は太陽光・風力・地熱などで、買取に必要な費用は電気代の一部として消費者が負担する仕組み。
とりわけ、太陽光発電の買取価格は割高な設定とされる上、用地が確保できれば建設期間が比較的短くて済むため、企業などによる参入が急増。それに伴い、太陽光発電の販売も右肩上がりの状態となっている。
JPEAによると、2012年度の太陽光パネルの国内出荷量は前年度比約2.7倍の約380万kWと過去最高を記録。米調査会社IHSによると、2013年に日本国内に新規導入される太陽光の発電能力は2012年比2.2倍の530万kWに拡大し、設備販売額や設置費用などを合計した市場規模が198億ドル(約1兆9380億円)とドイツを抜いて世界1位になる見通し。
一方、これまで好調だった欧州では、1~3月の太陽光発電の新規導入量が前年同期比34%減と大幅に前年実績を割り込んだ。欧州では、買取価格の引き下げなどで太陽光発電への投資が減っていることが背景にある。これまで中国など各国の太陽光発電メーカーは欧州市場を主戦場としていたが、同市場の不振で、今後は好調な日本市場への攻勢が強まるとの見方が広まっている。
(産経新聞)